自分のお酒を見つけるための日本酒学 基礎編

数百数千有る日本酒名から、自分の好みにあった商品を見つけることは至難の業です。酒の好き嫌いは吞んでみなければ判りませんが、日本酒の種類やタイプ等を知ることで、自分好みの酒を見つけ事が容易になります。

①特定名称で選り分ける
特定名称は国税庁が告示した清酒の製法品質表示基準で、各要件を満たしていれば表示できる、いわば国が決めた規格です。

  • 吟醸酒(ぎんじょうしゅ)
    米を磨き低温で醸造した日本酒でフルーティーな吟醸香が特徴
  • 純米酒(じゅんまいしゅ)
    米と米麹だけで醸造した日本酒でふくよかな旨味が特徴
  • 本醸造酒(ほんじょうぞうしゅ)
    少量のアルコールを加えて醸造した日本酒で軽快な味わいが特徴

また、特別名称は、原料、製造方法等の違いによって8種類に分類されます。
特定名称と要件は以下のようになります。

  1. 純米大吟醸

    使用原料:米、米麹
    精米歩合:50%以下
    麹米使用割合:15%以上
    香味などの要件:吟醸造り、固有の香味、色沢が特に良好

  2. 大吟醸酒

    使用原料:米、米麹、醸造アルコール
    精米歩合:50%以下
    麹米使用割合:15%以上
    香味などの要件:吟醸造り、固有の香味、色沢が特に良好

  3. 純米吟醸酒

    使用原料:米、米麹
    精米歩合:60%以下
    麹米使用割合:15%以上
    香味などの要件:吟醸造り、固有の香味、色沢が良好

  4. 吟醸酒

    使用原料:米、米麹、醸造アルコール
    精米歩合:60%以下
    麹米使用割合:15%以上
    香味などの要件:吟醸造り、固有の香味、色沢が良好

  5. 特別純米酒

    使用原料:米、米麹
    精米歩合:60%以下または特別な製造方法
    麹米使用割合:15%以上
    香味などの要件:香味、色沢が特に良好

  6. 純米酒

    使用原料:米、米麹
    精米歩合:―
    麹米使用割合:15%以上
    香味などの要件:香味、色沢が良好

  7. 特別本醸造酒

    使用原料:米米麹、醸造アルコール
    精米歩合:60%以下または特別な製造方法
    麹米使用割合:15%以上
    香味などの要件:香味、色沢が特に良好

  8. 本醸造酒

    使用原料:米米麹、醸造アルコール
    精米歩合:70%以下
    麹米使用割合:15%以上
    香味などの要件:香味、色沢が良好

②タイプで判断する
他の商品と区別するために付けられる呼称になります。

  1. 生酒

    ほとんどの日本酒は貯蔵から瓶詰めまでに2回の加熱殺菌(火入れ)が行われるが、この火入れを一度もしていない酒。
    加熱処理をしない分フレッシュでフルーティーな香味が楽しめる。
    瓶詰め時に1回だけ火入れした酒を「生貯蔵酒」貯蔵前に1回だけ火入れした酒は「生詰め酒」よ呼んでいます。

  2. 原酒

    搾ってから水を加えていない、アルコール分の高い酒。
    味が濃いのでロックでも氷に負けることなく美味しく飲める

  3. 長期貯蔵酒

    長期間貯蔵し熟成させた酒。
    昔、日本酒は長期の熟成に向かないというのが常識でしたが、製法や保管技術の進歩で日本酒は熟成で美味しくなる事が分かりました。
    秘蔵酒や○年古酒、○年貯蔵酒などの名前で、色々なタイプの長期貯蔵酒が発売されています。

  4. 冷やおろし

    寒中に仕込んだ酒が、やがて秋をむかえ味が整ったころに生詰めした日本酒。
    常温、又はぬる燗で香味を楽しむことができる。

  5. にごり酒

    醪を目の粗い布などで軽く漉しただけの濁った酒。
    生製品は活性清酒と呼ばれ、酵母が生きており瓶内で醗酵が続いている。

③格付け名称で選別する
平成4年まで使われていた特級、1級、2級に変わるランク分けです。

  1. 特撰

    昔の特級に変わる呼称

  2. 上撰

    昔の1級に変わる呼称

  3. 佳撰、金撰、銀撰、精撰など

    昔の2級に変わる呼称